iPhone で Apple Log を撮った。さて、次は?
Log 記録は2023年の iPhone 15 Pro で搭載され、Apple Log 2 は 17 Pro で続いた。 解説動画は普通のカメラ系チャンネルでは出せない再生数を叩き出していて、大きい ものはどれも50万回再生を超え、今も新作が出続けている。
つまり、シネマカメラどころかカメラ自体を持ったことがない人たちが、大量に Log を撮るようになったということだ。
あの動画群自体はいい出来だ。ただ、形はほぼ全部同じ。設定はここ、こういう 理由で価値がある、さあ撮ろう。録画を止めたあとに何が起きるかは別の動画の 仕事で、そしてその動画はたいてい作られていない。
壊れてはいない。これでいい
最初の反応はたいてい「何か壊れた」だ。クリップは灰色っぽく、白っぽく、 眠たい色で戻ってくる — 10年間窓際に置きっぱなしにした写真みたいに。だが それで合っている。Log は明るい部分と暗い部分の情報をより多くファイルに 残す方式で、その代償としてコントラストが抜けた状態で映像が届く。それは あとで戻す。
1本のクリップだけなら何の問題もない。タイムラインに置いて変換をかければ、 それで映像が出てくる。
面倒になるのは、だいたい40本目あたりから。
見つかる対処法は、カメラを持っている人向けに書かれている
Log クリップのフォルダをどう扱うか、動画編集者が集まる場所で聞いてみると いい。数件の返信のうちに、お決まりの答えが返ってくる — メーカー純正のユーティリティを入れろ、と。
実際、悪くないアドバイスだ。Sony の Catalyst Browse は無料で、Sony の クリップを本来の見た目で快く表示してくれる。他のブランドも似た主旨の ツールを出している。そのカメラを持っているなら、入れればいい。
ただ、そのアドバイスはどれも、あなたが特定のカメラブランドに 乗っている前提で成り立っている。
あなたは乗っていない。カメラはポケットの中のスマホだ。Apple 自身の Log への回答は Final Cut Pro の中にある — 取り込み時に形式を検出して 変換をかけてくれる、良いことではあるけれど、数段階遅すぎる。それは 編集ソフトで、しかも有料で、カードの中身を確認するだけの作業には 荷が重すぎる。結局アドバイスは「編集ソフトで開け」に帰着する — まさに、何百回もやりたくなかったことだ。
素材を見るためだけに編集ソフトを起動する
撮影した日の夜、本当にやりたいことを考えてみてほしい。グレーディング じゃない。編集でもない。見たいだけだ — どのテイクがピントを 保っていたか、どっちの表情がよかったか、200本のうちどの40本が残す 価値があるか。
それは閲覧の仕事だ。編集アプリでやるということは、あとで捨てる プロジェクトを立ち上げ、取り込んで、待って、ビンをスクロールする ということ — 画面の絵を灰色にしないためだけに。動くことは動く。 ただ「これは使えるか」に答えるにしては、あまりに大掛かりな仕掛けだ。
しかも、この方法は本数が増えるほど急激にきつくなる。それこそが スマホの本質的な問題だ — 200本のクリップを持って帰ってくることを、 いとも簡単にしてしまう。
そして、カメラを買う
ここが見落とされがちな部分だ。スマホで Log を撮る人こそ、1年後に ミラーレスを買い足す人たちでもある — それは自然な次の一歩だし、 そもそも Log に興味を持ったきっかけがそれだったりもする。
すると1つのフォルダに、スマホの Apple Log、カメラの S-Log3 や V-Log や Canon Log、そしてプロファイルを戻し忘れて撮った普通のクリップが 混在することになる。3種類の変換が必要で、どのクリップも同じように 灰色に見える。ファイル名は軒並み IMG-何々、DSC-何々だ。
メーカー純正ユーティリティという答えは、ここではただ不便になるだけ じゃない — そもそも成立しなくなる。2つ必要になるうえ、どちらも 相手のファイルは読めない。
抜け落ちていた工程は、実際どういうものか
これが Divecut を作った理由の空白だ。メモリーカードとタイムラインの間、 ただ手元に何があるか見たいだけの部分。
フォルダを指定するだけでいい。どのクリップにも、それが何であるかを 示すバッジが付く — Apple Log、S-Log3、 V-Log、HLG、Rec.709 — 絵から推測するのではなく、ファイルから読み取った値だ。iPhone の素材 なら設定すら要らない。Apple は Log クリップにきちんとラベルを付けて いて、Divecut はそのラベルを読むだけだから。
もっと言えば、一覧が灰色のままにならない。どのクリップもそれぞれの 形式に合った変換が最初から適用された状態で表示されるので、スマホの クリップとカメラのクリップが隣り合っていても、同じ画面上で同時に、 それぞれ本来の見た目で並ぶ。これは表示だけの話で、ファイルが書き 換えられることも、何かが横に生成されることもない。
そこまで揃えば、山はもう山ではなくなる。評価と不採用はキーボードだけで 完結するし、どのクリップがどれだったか思い出せなくなっても、「夕焼け」 「橋の上の人」のように言葉で探せる — アプリがあなたの代わりにすでに 中身を見ていて、それも手元の端末の中だけで、どこにもアップロード せずに。
そして Log は、受け渡しでも生き残る
最後のこの部分は、聞こえる以上に重要だ。選んだ素材を DaVinci Resolve へ送ると、原本のファイルはそのまま、手を加えられずに渡る — 変換前の Log のまま、何も焼き込まれていない。Divecut はタイムライン上で クリップを撮影時の形式ごとにグループ化し、対応する変換をカラー設定 として上に重ねる。これは調整も、差し替えも、丸ごと捨てることも できる。
だからグレーディングは、カメラが作ったそのファイルから始まる。取り込み の途中で一度変換されたものからではない。そもそも Log で撮る理由は そこにあって、カードからタイムラインまでの道中でそれを使い果たして しまうのは、おかしな話だ。
チュートリアルは間違っていなかった
Log をオンにしたのは正しい判断だった。誰も触れなかった工程は、カラー サイエンスの問題ではないし、いい LUT を使えば解決するものでもない — それは整理の問題だ。全部同じに見えるクリップのフォルダがあって、 そのうちの何本かには価値があって、それでも誰かが勧めてくるのは、 いつもフル機能の編集ソフトだけ。
本当に必要だったのは、撮ったものを見る方法だった。
Divecut は macOS と iPad 向けの素材ブラウザです。Log クリップを撮った ときの色のまま表示し、言葉で探せるようにし、選んだ素材を Log のまま DaVinci Resolve へ渡します。できることを見る。